個人完結型から「接続型」へ。複雑化する業務を解きほぐす新たなリーダーシップ
業務の自動化が加速する今、私たちが向き合うべき仕事の質は大きく変化しています。
定型的な個人業務がAIに置き換わる一方で、複雑に絡み合う調整業務の価値が高まっています。
これからは「人間同士の連携」と「AIとの協働」という2つのチームを指揮する、高度なファシリテーション能力(円滑な進行・調整スキル)がビジネスパーソンの必須条件となります。
組織の垣根とAIの群れ。現代に現れた「2種類のチーム」
これからのビジネス環境において、「チーム型の仕事」は確実に増加していきます。ここで私が定義するチームには、大きく分けて2つの場面が存在します。
一つは、従来からある人間同士のチームです。共通のゴールを目指し、部署や組織、時には会社の垣根を超えて形成されるプロジェクトチームのことです。多様な人間が集まる場では、感情や利害関係を調整する高度な対人スキルが求められます。
もう一つは、これまでになかった新しい概念、「自分とAIによるチーム」です。様々な機能や役割を持った複数のAIエージェントを部下のように従え、指揮を執るスタイルです。
前者は「自分対他者」、後者は「自分対AI」という違いはありますが、本質的にはどちらもチームビルディングに他なりません。メンバー(人間またはAI)の特性を理解し、目的達成に向けて機能させる。
つまり、あなた自身が優れたファシリテーターとして振る舞うことが、これまで以上に強く求められる時代が到来しているのです。
全てを自動化しない勇気。「小さなAI」から始める現実的なDX戦略
一人で完結する業務の多くは、今後さらに自動化が進んでいくでしょう。
しかし、複数の要素が複雑に絡み合い、細かな調整が必要な業務においては、依然としてチームの力が必要です。
もちろん、技術的には複雑な業務も自動化することは可能です。しかし、現段階でそれを無理に実装しようとすれば、開発コストや維持コストが跳ね上がるリスクがあります。「自動化できない」のではなく、「費用対効果が合わない」のです。
私は、こうした複雑な業務の自動化は、あえて「先送り」にする判断も重要だと考えています。無理に巨大なシステムを構築するのではなく、まずは手元の小さな業務をAIで自動化する「小さなAI」の活用に注力すべきです。技術の進歩を待ちながら、個々人が小さな自動化ツールを作成・運用できるスキルを磨いておく。そうして基礎体力をつけてから、段階的に複雑な領域へと踏み込めばよいのです。
調整力こそが最大の付加価値。今、磨くべきファシリテーションの技術
単純作業がAIに代替される未来において、人間に残されるのは「複雑で調整が必要な仕事」です。だからこそ、多くの人が関わるプロジェクトや、多数のAIを統御する場面において、全体を俯瞰し円滑に進めるファシリテーションの技術が輝きを増します。
今、私たちが優先して学ぶべきは、この「調整し、接続する力」です。人間の心理的な機微を読み解きながらチームをまとめる力と、AIの特性を理解しタスクを配分する力。この双方を兼ね備えた人材こそが、次世代のリーダーとして組織を変革していくでしょう。
まずは「小さなAI」で足元を固めつつ、人間とAI、双方のチームを導くファシリテーターとしてのトレーニングを始めてみてください。それが、来るべき未来への最も確実な投資となるはずです。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
