【機嫌のマネジメント】「やる気」は待つな。動くからこそ、心は後からついてくる

デジタルとマインド

「準備が整ったら」という言葉は、永遠に来ないバスを待つことに似ている

多くのリーダーやビジネスパーソンが陥る「最大の誤解」があります。それは、「やる気が出たら行動する」という順序です。脳科学の知見や先人たちの哲学を紐解けば、真実は常に逆であることがわかります。「動くからこそ、やる気が湧く」。このシンプルなメカニズムを理解するだけで、仕事の景色は劇的に変わります。

「動かなければ転ばない」という最大のリスク

私たちは無意識のうちに失敗を恐れます。「準備不足で始めたら失敗する」「まだその時ではない」と、もっともらしい理由をつけて行動を先送りにします。

確かに、動かなければ転ぶことはありません。

しかし、それは同時に「一歩も前に進んでいない」ことを意味します。 ビジネスの世界、特にDXやAI活用といった変化の激しい領域において、「現状維持(止まっていること)」は安全ではなく、緩やかな衰退です。

「転ぶこと」を恐れて立ち止まっている足こそが、実はあなたのキャリアや人生を最も不安定にさせている要因かもしれません。 転ぶということは、重力に逆らって前に進もうとした証拠です。その擦り傷は、挑戦した者だけが得られる勲章と言えるでしょう。

脳は「入力」を待っている

「楽しそうだから始める」のではなく、「始めたから楽しくなってくる」。 これは精神論ではなく、脳の仕組みそのものです。

心理学や脳科学の分野では「作業興奮」として知られる現象があります。やる気スイッチは、あなたの頭の中にあるのではなく、実は指先や足先にあります。

  • 資料作成の1行目を書く。
  • 気になっているツール(AppSheetや生成AIなど)をとりあえず開いてみる。

このように身体を動かすことで、脳の側坐核が刺激され、後からドーパミン(やる気)が分泌されます。 かつて哲学者アリストテレスが「建築家になることで建築家になる(行為が人を創る)」と説いたように、私たちの内面は、外面的な行動によって事後的に形成されるのです。

「即行即止」のすすめ

悩みとは「迷い」という停滞であり、智慧とは「行動」という流動です。 もしあなたが今、何かを始めることを躊躇しているなら、それは「心(感情)」に行動を委ねすぎているからかもしれません。

感情は天気のように移ろいやすいものです。あてにならない天気を待つよりも、自分の足で一歩踏み出す方が確実です。

私が推奨するのは「即行即止(そっこうそくし)」の精神です。思い立ったらすぐに行い、違うと思ったらすぐにやめる。この軽やかさが、現代のリーダーには必要です。

感情は行動の「奴隷」である

少し強い言葉ですが、あえて言わせてください。

「やる気が出ないからできない」のではありません。「やらないから、やる気が出ない」のです。

心(ソフトウェア)のバグを直そうと悩み続けるよりも、身体(ハードウェア)を強制的に動かすほうが、システムは正常に再起動します。

まず、指先ひとつ動かしてみる

「準備」という名の逃避を捨てましょう。 完璧な計画など、走り出してみなければ分かりません。

今、この画面を閉じた直後に、ほんの小さなアクションを起こしてみてください。 誰かにメールを打つ、気になっていた本を注文する、あるいは深呼吸を一つする。 その小さな「動き」こそが、あなたの機嫌を良くし、新しい景色への扉を開く鍵となります。 心は、あなたの行動の後を、必ず追いかけてきます。