「AIが優しい回答」しか、出してこない時は要注意。成果を出し続けるための『没頭』と『プロンプト』の技術

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「頑張っている」という自覚がない時こそ、仕事は最も生産的になる

誰かに止められても、ついつい続けてしまう。気がつけば時間が経っている。そのような状態にある時、私たちは側から見れば「努力家」に見えるかもしれません。しかし、当の本人には「頑張っている」という感覚はほとんどありません。むしろ、私がこれまでの経験で感じるのは、「頑張らなきゃ」と意識した瞬間に、やる気、パフォーマンスの純度が落ち始めているということです。

今回は、私が実践している「技術の学び方」と、そこから見えてきた「AIとの付き合い方」の本質についてお話しします。

誰かに止められても続けたい。それが「努力」の正体

仕事の捉え方について、よく相談を受けることがあります。しかし、「努力のコツ」というものは存在しないのかもしれません。

なぜなら、本当に成果が出ている時の感覚とは、「やりたいことを、好きなだけ取り組んでいる」状態に近いからです。「頑張っている」という感覚が顔を出すのは、自信が揺らいだ時や、義務感が先行した時だけではないでしょうか

私自身、現在はデータ分析や新しいAI技術の習得に多くの時間を割いています。特にGoogleの生成AI「Gemini」や、業務アプリ開発ツール「AppSheet」の検証は、仕事という枠を超えて没頭できる領域です。データインテリジェンスと人間力を融合させ、組織を変革する。このビジョンに向かって手を動かしている時間は、私にとって「努力」ではなく「探究」なのです。

進化の速い時代だからこそ、「Google」一点に絞り込む

現在、AI技術の進歩は凄まじいスピードで加速しています。好奇心旺盛な私でも、世に出るすべてのツールを追いかけようとすれば、情報の波に飲まれてしまいます。

そこで私は、戦略的に学ぶ対象を絞り込んでいます。具体的には、「Gemini」を中心としたGoogleワークスペースおよびGoogle関連技術への集中です

「幅広く浅く」ではなく、特定の技術領域を「深く」掘り下げる。これにより、ツールの表面的な機能だけでなく、その背後にある設計思想や応用可能性まで理解できるようになります。私がGoogle認定のスキルを習得し続けているのも、この「選択と集中」が、結果として最短で現場の課題解決(実務)に繋がると確信しているからです。

生成AIが「精神論」を語り出したら、指示を見直す合図

Google関連技術の中でも、私が特に時間をかけて磨いているのが「プロンプトエンジニアリング(AIへの指示出し技術)」です

すでに作成したプロンプトを再利用する際も、より精度を高めるための微調整(チューニング)を繰り返しています。なぜなら、AIからのアウトプットの質は、私たちが投げかける「言葉の質」に完全に依存するからです。

ここで、一つ興味深い指標をお伝えします。 もし、あなたが生成AIを使った際、「とても親切な回答だ」「優しいアドバイスをくれた」と感じたら、少し注意が必要です。

AIに対して「何かいい意見をください」といった曖昧な依頼をしていませんか。

AIは優秀ですので、指示が曖昧であればあるほど、当たり障りのない「正論」や、ユーザーを傷つけない「精神論的な励まし」を返してきます。「どちらも重要ですね」「バランスが大事です」といった回答はその典型です。

これは、AIが悪いのではありません。ビジネス課題を具体的な「問い」に変換しきれていない、こちらの「プロンプト設計」の甘さが原因です 。

「問い」の質を高め、テクノロジーを使いこなす側へ

AIが具体的かつ、時に耳の痛い指摘も含めた「鋭い解決策」を提示してくれた時こそ、良いプロンプトが書けた証拠です。

「生成AIを有能なパートナーに変える」とは、AIに機嫌をとってもらうことや、ただ、背中を押してもらうためではありません 。こちらの意図を論理的に伝え、複雑なタスクを処理させるための設計図(プロンプト)を渡すことです。

これからも私は、53歳の実務家として「経験に裏打ちされた直感」を大切にしながらも、それをデータとAIで科学する姿勢を持ち続けたいと思います 。テクノロジーに振り回されるのではなく、使いこなす楽しさを知ることで、私たちの仕事はもっと「機嫌よく」、そして創造的なものになるはずです。

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。