行動量は足りている。それでも成果を実感できない理由
夕方、自分のデスクに戻り、今日一日で片付けた仕事のリストや送信済みメールの履歴を眺めながら、ふとため息が出ることはないでしょうか。
チームの業務を見直し、部下の相談に乗り、新しい仕組みを取り入れようと毎日誰よりも早く動き、手を打ち続けている。それなのに、職場の空気も業績の数字も、目に見えるほど大きくは変わっていない。「自分のやり方が間違っているのではないか」「これだけやっても意味がないのではないか」と、静かな焦りを感じる瞬間です。
同じように現場を引っ張る他部署の部長や、社外のリーダーたちと話す機会があっても、そこでは「お互い頑張っていますね」と傷を舐め合うような会話にはなりません。
なぜなら、責任ある立場で前を向いている人たちにとっては、「日々懸命に考え、行動し続けていること」は自慢するものではなく、ただのスタートラインに過ぎないからです。
頑張ることが「当たり前」の場所で戦うリーダーの孤独
中堅リーダーから部長職へと立場が上がっていくにつれて、仕事の評価軸は大きく変わります。
若手や現場の担当者であれば、「今日10件の訪問をした」「新しいツールの使い方を覚えた」といった日々の行動そのものが、すぐに目の前の達成感や周囲からの評価につながります。
しかし、組織を動かすリーダーの仕事はそうはいきません。
全力を尽くすことが大前提であり、周囲のリーダーたちも同じように高い熱量で走り続けています。その中で「自分はこれだけ頑張っている」と言葉にすることは難しく、結果として多くのリーダーが、手応えのない時間を一人で抱え込むことになります。
毎日これだけ種をまき、水をやり続けているのに、なぜ芽が出ないのか。そう考えてしまうのは、あなたが仕事に対して誠実で、組織をより良くしたいという自発的な熱量を持っている証拠でもあります。
ただ、そこで自分自身を追い詰めてしまう前に、少しだけ「時間軸」の捉え方を変えてみる必要があります。
すぐ手応えを求めると陥る「3つの消耗」
リーダーが「今の頑張りに対する手応え」を今すぐ求めようとすると、かえって現場も自分自身も苦しくなってしまいます。具体的には、次のような悪循環に陥りやすくなります。
- 1〜2ヶ月試してすぐに反応が出ないと、「この施策はダメだ」と早々に見切りをつけてしまい、着実な実践の積み重ねが途切れてしまう
- 自分が動いている分、まだ変化が見えない部下や周囲に対して「なぜ同じように危機感を持って動けないのか」と苛立ちを感じてしまう
- 「これだけやっているのに報われない」という徒労感が溜まり、リーダー自身の心身の余裕が削られていく
植物の種をまいて、翌日に土を掘り返して「まだ根が出ていない」と嘆く人はいません。しかし、日々の業務に追われる職場では、知らず知らずのうちにこれと同じことをしてしまいがちです。
今の努力の答え合わせは、3年後・5年後・10年後にしかできない
厳しいようですが、今あなたが現場で積み重ねている試行錯誤の結果を、今この瞬間に実感することはできません。
今の頑張りがどのような実を結んだのかがわかるのは、3年後、5年後、あるいは10年後の未来だけです。
つまり、私たちは「今やっていることの手応え」をリアルタイムで感じることはできず、常に「過去に積み重ねてきた努力」を後から振り返った時にだけ、その成果を実感できるようになっています。
ここで少し、あなた自身のこれまでの歩みを振り返ってみてください。
- 今、あなたが「当たり前にできている判断」や「スムーズに回せている業務」は、3年前や5年前の自分が、手探りで悩みながら仕組み化したものではありませんか?
- 今、現場で頼りになっている中堅社員の姿は、数年前にあなたが根気強く声をかけ、失敗をフォローし続けた時間の結果ではありませんか?
- 数年前のあなたが「本当にこれでいいのだろうか」と迷いながら進めた小さな改善が、今の部署の土台を支えてはいませんか?
当時は何の手応えもなかったはずの行動が、数年経った今、確実にあなたの職場の財産になっているはずです。
それと同じように、今日あなたが孤独の中で行った判断や、すぐには伝わらなかった部下への一言、地道な業務の見直しは、すべて3年後や5年後のあなたとチームを助けるためのものです。
今の努力の手応えが今日感じられないのは、まだ結果が出ていないからではなく、それが「数年後に花開く種類の仕事」だからに他なりません。
今日まいた種がどんな形になるのかを楽しみにしながら、まずは目の前の一歩を、焦らず着実に積み重ねていきましょう。
数年後のあなたが今日を振り返ったとき、「あの時、手を止めずに続けておいて本当によかった」と実感できる日は必ずやってくるはずです。
