技術を導入する前に、まずは「安心して話せる空気」をインフラとして整備する
最新のAIやノーコードツールを導入しても、現場の反発や停滞を招いてしまうことがあります。その原因の多くは、技術の優劣ではなく、組織の「心理的安全性」という土台にあります。リーダーが日々のコミュニケーションという「手数」を惜しまず、メンバーが息をするように自然に本音を話せる文化を創ること。これこそが、組織変革を最短距離で進めるための、最も重要な戦略的投資です。
「溜め込んで爆発させる」リスクを、日々の微調整で回避する
リーダーは常に、自身の発言が及ぼす影響に自覚的でなければなりません。特にハラスメントへの配慮が必要な現代では、指導の難しさにストレスを感じる場面も多いでしょう。
しかし、注意すべきは「溜め込み」です。伝えたいことを我慢し続け、ストレスが限界に達したときに発せられる言葉は、どうしても攻撃性を帯びてしまいます。これを防ぐ唯一の方法は、その時、その場で、こまめに教育・指導を行うことです。
私はこれを「セルフモニタリング(自分の心の状態を客観的に観察すること)」と呼んでいます。自分の機嫌を自分で管理し、小さな違和感のうちに言葉にして伝える。この「鮮度の高いフィードバック」が、自分と部下の双方を守る盾になります。上司に限らずですが、時々耳にする「自分の機嫌は自分でとる」ということです。
部下や社歴の浅い仲間に、機嫌を取ってもらっていませんか?
圧倒的な「手数」が、誤解というノイズを取り除く
私が現場マネジメントで最も意識しているのは、「コミュニケーションの手数(頻度)」です。一度の重い面談よりも、日々の何気ない十回、二十回の声掛けを優先します。
- 「手数を増やす」メリット
- 相手の小さな変化に気づきやすくなる。
- 「こんなことを言っても大丈夫だ」という信頼が蓄積される。
- 指導や教育が「特別なイベント」ではなく「日常の風景」になる。
「話しすぎて嫌われないか」と不安になる必要はありません。大切なのは、その前提となる「部署の文化」を磨き続けることです。
発信をデータ分析のプロセスに例えるなら、サンプル数(会話数)が多いほど、組織の状態を正確に把握でき、適切な改善策を打てるようになります。
心理的安全性が、業務改善やDXの「アクセル」になる
「安心して話せ、安心して聞ける」人間関係。これが組織に根付いて初めて、本当の意味での業務改革が始まります。
「この工程は無駄ではないか」「この作業をAppSheet(ノーコード開発ツール)でアプリ化してはどうか」。こうした建設的な提案は、メンバーが「否定されない」と確信している場所でしか生まれません。
特定の業務を思い切ってやめる、あるいは簡素化するといった決断も、強固な信頼関係という土台があってこそスムーズに進みます。リーダーにとっての最優先事項は、仕事のやり方を変える前に、「それらを受け入れられる文化」を醸成することにあるのです。
「呼吸」のように自然な対話が、強いチームを創る
文化づくりに「完成」はありません。毎日の朝礼や何気ない雑談を通じて、心理的安全性を高めるメッセージを発信し続けること。それが、チーム全員が「機嫌よく」働ける職場への唯一の道です。
組織の形を変える前に、まずは心のインフラを整える。その地道な積み重ねが、将来的にAIやITを使いこなし、変化に動じない強い組織を創り上げます。
私も一人のリーダーとして、今日も「手数」を惜しまず、メンバー一人ひとりと向き合うことから始めます。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
静岡市在住 鈴木啓之 メンターHS
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