チーム作りは「日常のささいな一言」から始まる
一つの部署、一つのチームを「良いチーム」に育てるために、まず目を向けるべきは、メンバーの「情報の出し方」です。
たとえば、こんな違いがあります。
- 「出張にいってくるね」
- 「名古屋の〇〇会社さんに、年末のご挨拶に行ってくるので出張してくるね」
たったこれだけの差に見えるかもしれません。
しかし、この二人の思考習慣は、報告・相談・教育・日常の会話、あらゆる場面で一貫しています。
前者は「必要最小限を伝える」、後者は「相手が状況を把握しやすくなるように、背景ごと伝える」。この違いが積み重なると、チーム内のコミュニケーションの質と情報共有の豊かさに、大きな差が生まれます。
表面上の会話と、業務につながる情報共有の違い
オープンマインドな人は、業務上の案件でも自然と情報を共有しようとします。
「この件、誰に聞いたら早い?」
「この背景も共有した方がいいよね」
「自分の理解を確認したいから、ちょっと話していい?」
といった姿勢が日常的に見られます。
一方で、秘密保持主義的な人は、意識的・無意識的に「自分だけがより多くの情報を持っておきたい」と考えがちです。表面上は会話が成立していても、肝心な業務情報は自分の手元に留めようとします。結果として、周囲は「聞かないと出てこない」「聞いても部分的にしか出てこない」状態になります。
この差は、単なる性格の違いでは済みません。
情報が豊かに飛び交うチームと、特定の人だけが情報を握っているチームでは、意思決定の速さ、ミスの早期発見、若手の成長速度、メンバー間の信頼感が大きく変わってきます。
周囲が払っている「情報を引き出すコスト」
秘密主義的な人がチームにいると、周囲は常に「この人から情報を引き出すためのコスト」を払い続けています。
具体的には、次のような負担が発生します。
- 何を知っているのかを推測しながら、何度も確認の連絡を取る
- 「この人はどこまで言ってくれるかわからない」という不確実性の中で仕事を進める
- 必要な情報が後から出てきたことで、やり直しや調整が発生する
- 教育や報告の場で、意図的に情報を小出しにされていると感じ、信頼が損なわれる
これらはすべて、秘密主義的な本人が「余計なことは言わなくていい」と思っている間に、周囲が黙って負担しているコストです。
本人は「自分はちゃんと仕事をしている」と思っていても、周囲から見れば「情報を出さないことで、チーム全体の時間と精神的エネルギーを消耗させている人」になっているケースが少なくありません。
オープンマインドな人がいるチームでは、情報が自然に循環するため、こうした摩擦が大幅に減ります。
逆に、秘密主義的な傾向が強い人がいると、チーム全体が「情報を引き出す作業」に時間とエネルギーを奪われ、本来集中すべき業務に使えない状態が続きます。
あなたは、どちらの思考習慣を持っていますか?
ここで、一度自分を振り返ってみてください。
- あなたが報告するとき、相手が状況を把握しやすいように、背景や目的まで添えていますか?
- 「言わなくてもわかるだろう」と思っている部分は、本当に相手も理解できていますか?
- 自分が知っている情報を、チーム内で共有することに抵抗を感じる場面はありませんか?
- 「この情報は自分だけが持っていた方が有利だ」「今は言わなくていい」と無意識に考えてしまうことはありませんか?
オープンマインドであることは、すべてを誰にでも話すことではありません。
「この情報を共有した方が、チーム全体が前に進みやすい」と判断したときに、迷わず出せるかどうか、という姿勢の問題です。
逆に、秘密主義的な傾向が強い人は、意図的に情報を隠しているわけではなく、「自分が持っている方が安心」「余計なことを言う必要はない」と考えているだけの場合も多いです。しかし、その結果として周囲が情報を得るために余計な労力を払い、ストレスを感じていることには、本人が気づきにくいものです。
良いチームを作るための管理視点
一つの部署・チームを良い状態に育てるためには、「情報を自然に共有できる人を増やす」ことと同時に、「情報を抱え込みがちな人を、どのように扱うか」も重要な管理項目です。
- オープンマインドな人を評価し、その行動をモデルとして示す
- 情報共有の場や仕組みを整え、「共有すること」が自然になる環境を作る
- 秘密主義的な傾向が強い人に対しては、具体的な行動の変化を求め、場合によってはチームの役割を見直す
表面上の会話がいくら豊かに見えても、業務につながる情報が特定の人に偏っている限り、チームの成長は頭打ちになります。
あなたは今、チームの中で「情報を豊かに循環させる側」にいますか? それとも、「情報を手元に抱え込み、周囲にコストをかけてしまう側」にいるでしょうか。
その日常の小さな違いが、明日のチームのコミュニケーションの質を決定づけます。
最高のチームを作るには、リーダー自身のアップデートと、伴走する良きメンターの存在が欠かせません。組織づくりやマネジメントに関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
